2012年3月22日木曜日

パルチザン追悼歌



先月・今月はいろいろと雑事に追われ、ブログの更新を放置してしまいました。特に光明星節をスルーしてしまったことは痛恨の極みです。期待して待っていた方には申し訳ありません。

というわけで、一応、光明星節慶祝の代わりも兼ねて「パルチザン追悼歌」を訳してみました。金正日同志の死去が発表された2011年12月19日以降、共和国のテレビやラジオが「金正日同志の歌」「インターナショナル」とセットで流していたあの曲です。

パルチザン追悼歌 日本語訳

胸をおさえ 木の下に 
斃れたる 革命軍の
胸より 流れる血 
青き野を 濡らす

遙かなる 故郷の山河に 
父母兄弟 みな残し
独り立った 木の下に 
恨めしく 斃れぬ

山へ飛ぶ カラスよ 
屍を見て 啼くな
身はたとえ 亡びようと 
革命精神 生きている

■楽譜

出典:조선노래대전집 (《삼일포》2.0 )


■解説

抗日革命闘争時代に作られたとされる革命歌謡です。金日成主席が亡くなった際、追悼曲として吹奏楽曲に編曲され、金正日総書記が亡くなったときにも同じく使用されました。

朝鮮中央テレビでは12月19日正午に総書記の死去を伝えたあと、「パルチザン追悼歌」→「金正日将軍の歌」→「インターナショナル」の順に流しました。この流れは朝鮮中央テレビの放送時間中、翌日まで毎時続きました。ところが20日夜になるとなぜか「パルチザン追悼歌」が「追悼曲」に取って代わられ、「追悼曲」→「金正日将軍の歌」→「インターナショナル」になってしまいました。

うーん、どうして途中で「パルチザン追悼歌」をやめたのか。僕としては、ただただ悲痛な「追悼曲」よりも、死者を優しく包み込むような「パルチザン追悼歌」のほうが断然好きでした。日帝の「命を捨てて」に近いものを感じます。

ところで、日本における朝鮮音楽研究事情に明るい方は、この歌詞を見てピンと来るものがあるかもしれません。そう、山根俊郎氏の不朽の古典的労作『カラスよ屍を見て啼くな:朝鮮の人民解放歌謡』です。

事実、同書がそのタイトルを取った「追悼歌」(同書に2曲掲載されている同名の曲うちの一方)の歌詞は、1節と3節が「パルチザン追悼歌」に酷似している(リンク先参照)。しかし、歌詞は似ていても曲は異なります(そもそも「追悼歌」は3/4拍子であるのに対し「パルチザン追悼歌」は4/4拍子である)。まあ、革命歌謡には似たような曲がいくつもあることが稀ではないので、この場合もどっちかがどっちかの亜種ということなのだと思います。


■動画

 
(^q^)